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ADHDの時間管理術をシリーズで紹介してきましたが、その中でも今回はタスク管理のポイントについて考えてみたいと思います。

 

「会社員」Aさんの毎日の悩み

Aさんは、やるべきことがいつも目の前に見えていないと、何をするつもりだったのかを忘れてしまいがちです。仕事を始めようと机に座ったものの、自分が何をするつもりだったのかを忘れてしまい、何から手をつけようか?と考えることから始めなくてはいけません。

また、集中して作業していると、それだけに夢中になってしまって他の作業が進まなくなってしまうこともしばしばです。そうして残った仕事を目の前にすると、どれも気の進まない面倒な作業だと思ってしまい、手をつけるのが億劫になります。先延ばしにしているうちに、いつもギリギリになって慌てて仕上げるか、締切に間に合わなくなることも。やる気が出ない仕事のときは、しばらく作業をしていても、気がつくと他のことに気を取られていることもあり、すべての作業を終えるのに1日の時間が足りなくなってしまいます。

このような悩みを持つ人は少なくないのではないでしょうか。日々の生活の中で自分の特性をカバーするには、自分にあった方法を自分で見つけていくしかありませんが、これからご紹介していくヒントの中にも取り入れやすいものがあるかもしれませんので、参考にしてみてください。

 

1日のスケジュールを組む

あらかじめ、毎日の決まったタスクを基準におおまかなスケジュールを立てておきましょう。その際、その決まったタスクをするのにどれだけの時間がかかるのかを測っておきます。たとえば家事であれば、朝食の支度にかかる時間、片付けにかかる時間、掃除にかかる時間などを測ってタイムログをつけておきます。この時間をもとにして、毎日の決まった日課タスクを同じ時間帯に行なうと決めてしまい、スケジュールに書き込んでおきます。

日記をつけたり、一週間のスケジュールを組む・見直すといったタスクも日課として同じ時間帯に行なうとよいでしょう。毎日の同じパターンを作っておくことで、何から始めようか?と考えることが減り、時間の使い方や考え方が楽になってきます。

また、予め組んでおいたスケジュールとは別に、毎日の必要な用事ができてきます。難しい・面倒だと思われるタスクはやる気のある時間帯に(朝型の人は午前中に)、やりやすい・簡単だと感じるタスクはやる気の無くなってくる時間帯に(朝のスイッチが入りにくいならば、こちらを午前中に)行なうようにするとうまくいくかもしれません。

 

付箋やメモをフル活用する

不注意による忘れっぽさや「やり逃し」は、付箋やメモを活用することでカバーできるかもしれません。

例えば、人から「これが終わったらやっておいて」と頼まれた用事が入ってきたときは、その場でメモ用紙に書いておき、目の前のよく見える場所に貼っておきます。できればタイマーやリマインダーも併用して、その用事をやらなければならない時間になったら知らせてくれるようにセットしておくと忘れるのを防ぐことができます。

また、ADHDの人の発想は、次々に浮かんでは別の発想にかき消されてしまう…ということもよく起こります。思いついたことで必ずやりたい・やらなければならないといったことは、その場でメモに残す癖をつけておくと便利かもしれません。そのメモを書いたということを忘れてしまわないように、デスクの上やパソコンのモニター部分など、よく目につく場所に貼っておくことが大切です。

ときには、自分が何をするべきだったのか?と、これからやろうとすることを忘れてしまうこともあります。行動の計画や流れをおおまかに書いておいた紙をいつも自分が必ず目にする場所に貼り、いくつかの部屋で移動して行動する可能性がある場合は、自分の移動する場所にも同じように計画を書いた紙を貼っておきましょう。

 

ポモドーロ・テクニック

「やるべきこと」が目の前にあるときに、それが難しい課題であるほど、その問題の大きさを想像して「やる気」が消えていってしまいます。「達成」というゴールを遠く感じてしまうほど、何をどう手をつけていいか?それにはどれだけの根気が必要か?を考えた時、面倒になってしまうのです。「大きな課題」を「たくさんの小さな課題」として分割し、ひとつひとつ階段を上るように考えるテクニックを利用してみましょう。

ポモドーロ・テクニックのやり方は至ってシンプルです。まず、アラームを「25分」にセットします。そして、そのセットした25分間は完全に目の前の課題のことだけを考えて集中して取り組みます。25分が経過してアラームが鳴ったら、最初の「小さな課題」は達成です。今ある課題の手を止め、次に5分間のアラームをセットして「休憩」の時間をとります。この間にコーヒーを飲んでもいいですし、外をぼんやり眺めておくのも良いでしょう。5分間の休憩が終了したら、また同じように25分のアラームをセットして、先程の課題の続きに戻ります。「25分間の集中」と「5分間の休憩」を1セットとして、これを四回ほど続けたら長めの休憩をとり、次の課題に備えます。

もしも、このポモドーロを実践している最中に他の用事ができてしまった場合には、その取り組みは一旦終わりとします。途中で起きた用事が終了してから、また新しく「25分」と「5分」の繰り返しを始めましょう。また、その新しい用事に取り組むかどうかも、よく吟味します。「今は手が離せない用事があるので、◯分後に折り返し連絡してかまいませんか?」と時間を設定して相手と交渉するのも良いでしょう。その際、用件を持ってきた相手に必ず連絡をできるように、すぐにデスクトップのメモやアラームのメモに書き込んでおくことが重要です。

 

スキマ時間を有効活用する

「やりたい」「やらなければいけない」という仕事がたくさんある場合、その仕事以外の細かい用事も出てくるので、他の仕事をしている最中に細かな用事が気になって始めてしまう…ということも、よく起こりがちです。基本的に、ひとつのタスクを行っている時に別のタスクに移ってしまうことのないようにします。細かな用事は他の用事の待ち時間など、スキマ時間を利用して行なえるようにリストに書いておきましょう。

例えば、テレビのCMの最中や、料理を煮込んでいる最中(アラームを使いましょう)、通勤の途中や長い休み時間ができたときなど、ちょっと何かをするのに使えそうな時間を活用してみましょう。

買い物リストを作ったり、メールの返信をしたり、スケジュールを立てたり見直したり、ネットで買物をしたりといったちょっとした用事が、スキマ時間にぴったりの用事です。
こういった数秒から数十分で終わるようなスキマのタスクを紙に書き出しておいて、完了するごとにチェックを入れていくのもよいでしょう。

 

→ADHDの人のためのタスク管理テクニック②に続きます。

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