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これは、1,2年前に患者さんにきかれて思いついたもので、しっかり勉強していないのでところどころ間違っていると思いますが、大まかな方向性はよいと思うので、あげておきます。

○喫煙に関する誤った信念を変える

  • 「やめられるはずがない」→実は、やめることができる。この信念を崩すには、色々なやめた人の話をきいて「あ、やめれるかもしれない」と実感することが大切。

・「明日からやろうと毎日思うけれど実行できない」→エクスポージャー(後述)をしなくても、取り組める課題がある。例えば、やめた人に話をきく、マインドフルネス(後述)を用いた喫煙を行うなど。実行できない場合は課題の難易度をさげる。

○喫煙行動の行動分析

血液中のニコチン濃度の低下により、嫌悪状況におかれる。この嫌悪状況を解消するために喫煙行動が生じる。タバコを吸うと気持ちが良くなるわけではない。言い換えれば、喫煙行動は、正の強化ではなく負の強化をうける。また、喫煙後には、誤った認知的評価によってタバコに対する誤った認知(ルール)が強化される。

例)会議に参加する。会議ではタバコを吸えない、その上色々な話をきき、イライラしてしまう(嫌悪状況)。その後、「イライラするからタバコを吸って解消しよう」と思い(誤った認知)、喫煙する。喫煙後に、「あー、タバコを吸うとすかっとするな」と思う(誤った認知的評価)。

朝起きる。「あータバコを吸わないと目が覚めないな」と思い(誤った認知)タバコに手をのばす。喫煙後に、「タバコを吸ったので、目が冴えてきた」と思う(誤った認知的評価)

○喫煙渇望に対するエクスポージャー (一番重要)

喫煙渇望は、特定の状況(特に視覚的な刺激、嗅覚的な刺激)によって生じる。例えば、いつもの家の帰り道にあるコンビニ、お酒の席、自販機、誰かがタバコを吸っている様子をみる、灰皿・タバコの箱、話が面白くない時、何かの活動が一段落したときなど。喫煙渇望に対するエクスポージャーは、これらの刺激(Cue)をみても、喫煙渇望が生じないようにすることが目的になる。このエクスポージャーをCue Exposureと呼ぶ。依存症の治療では一般的な方法。

やり方は、タバコが吸いたくなるような場面に会えてふれ、喫煙渇望が消失するまでその場にとどまる。または、その刺激に直面する。喫煙渇望は、5分程で減少し始める。エキスポー中は、飴を舐める、何かで気を紛らわす、禁煙パイポ、電子タバコ等は使ってはいけない。これらは気ぞらし(認知的回避)になり、エクスポージャーの効果を妨げる。

エクスポージャーの例:コンビニのタバココーナーに毎日行き、タバコを買わずに帰る。タバコの道具を毎日みる。

エクスポージャー中は、「私は、タバコが吸いたいと思っている」とだけ考える(マインドフルネス)。また、自分のタバコを吸いたい渇望の強さが弱くなっているのを感じる。数字を付けてもよい。

○エクスポージャーの注意点

一度、エクスポージャーをはじめると、完全に喫煙渇望が消失するまでエクスポージャーを行う必要がある。もし、10分程で、「これだけ頑張ったからいいだろう」と思って喫煙を行うと、喫煙行動を強化してしまう。行動理論では、摂取制限による強化力の増大にあたる。

なかなか喫煙渇望がなくならない場合は、「吸いたい気持ちが減るわけない」「あー吸いたい吸いたい」等、認知的な回避等が起こっているので、これらをやめて再度挑戦する。

○エクスポージャーの実施方法

いきなり全ての場面でエクスポージャーをするのは難しい。そこで、特定の場面、場所等でエクスポージャーを行うとよい。この場合、エクスポージャーを行う場合・行わない場合を恣意的に分けることがないように、場所で分けると効果がある。例えば、車の中、仕事中、オフィス、自宅など。

○お酒

お酒を飲んだ状態では、条件が変わる。お酒を飲むとタバコが吸いたくなる場合は、最終的に、お酒を飲んだ状態でエクスポージャーを行う必要がある。

○タバコを意図的に吸う(マインドフルネス)

タバコをいつの間にか吸っている・無意識的に吸っている場合は、意識的に吸うようにする。タバコの箱を開けて、タバコを取り出し、火をつけて…と頭の中で実況中継をしてもよい。または、タバコを吸う時だけ動作をゆっくり行う。

○喫煙行動のセルフモニタリング

喫煙の場所、本数、刺激等が分からない場合は、これを記録にとる。

○喫煙行動に関する誤った知識(信念)

「タバコを吸いたいという気持ちはなくならない」→純粋に吸いたいと思う渇望は5分ほどで消失する。ただし、気ぞらしをしっかりとやめる(反応妨害する)必要がある。

「コンビニ等にいかなければいい」→生活をしている上ではほぼ不可能。また、この方法で禁煙に成功しても再発しやすい

「朝の一服がやめられない。目が冴える。」→目が冴えるというより、ニコチンにより血流が下がり、ぼうっとするだけ。目が冴えたと思うのは一瞬で長期的にみれば、仕事の効率は落ちる。

「禁煙できても、すぐ吸いたくなる。四六時中、タバコのことを考える」→ニコチンによる離脱症状が一つの山場。それを超えると、四六時中というのはなくなる。

「手持ち無沙汰になる」→実は、これが気ぞらし。これをしっかりやめることが大事。同じように別の似たような行動で紛らわすことは、本質的に意味がない。

「イライラがたまる」→むしろ、喫煙をやめたほうがイライラしなくなる。ストレス解消は、喫煙やゲームよりもリラクセーション、ヨガ等で鎮静するようにするとよい。

「今、ストレスがあるからやめられない」→むしろ、喫煙をやめるとストレス耐性があがる。

「タバコを吸った後に嫌な経験がないからやめられない。タバコを吸うことでの実害がもっと増えればやめられるはずだ。(例えば、金銭的な負担、健康)」→嫌悪を誘発することでやめさせようとする嫌悪療法は上手くいかない。底付きをみなければ、依存はやめられないという一昔前の理論と同じ。

○追加のエクスポージャーまたはソーシャル・スキルトレーニング

喫煙行動自体が何らかの回避行動としての機能を持っている場合がある。例えば、会議にいく時間を少し遅らせる。嫌な人に合う前にタバコを吸って時間を潰す。授業に出たくないから、喫煙場で仲間と過ごす等。この場合は、エクスポージャーだけでは不十分で、これらの回避している状況に対するエクスポージャーと場合によっては、ソーシャル・スキルトレーニングを行う。例えば、会議で緊張しないような練習を行う、嫌な人にあっても話す練習を行う、授業にでても不安を感じないような練習を行う。

○段階の組み方(治療計画)

まずは、「やめられるかもしれない」という信念をもつことから始める。

可能なら、Cue Exposureから始めてもよい。

必要があれば、セルフモニタリングを行う。

マインドフルネスはエクスポージャーの効果を高めるし、反応妨害としての側面もあるので是非併用する。

また、お酒を飲んだ時だけは吸うというのも、経過中には許容できるが、最終的にはあらゆる場面で禁煙を行わないと治療に成功しているとは言えない。

○再発予防

再発予防のためには、エクスポージャーを時々行う必要がある。一度、エクスポージャーが成功しても、同じような条件で渇望がでることがある。これは、自然的回復というよく知られた現象である。そのため、禁煙に成功しても、時々、エクスポージャーを行うことが再発予防に繋がる。

○禁煙に成功すれば…

不眠や、うつ病(抑うつ気分を含む)が改善する

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カテゴリー: 認知行動療法