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今回は、行動分析学の話です。

心理学は、かつて心の中身をずっと研究していました。MRIも脳波もとれなかった時代は、心の研究をするために、ひたすら想いをつらつらと書きだして研究していた時代もあります。

そのような中、行動主義という心理学の流れが出てきました。
行動主義は、心理学の研究対象は心ではなく、行動であると言い出しました。
心はブラックボックスだから、全く見えない。そうならば、いっそうのこと、心はみずに行動だけ見ていこうという発想です。

その後、スキナーという偉い先生が、行動を分析していく行動分析学の基礎を築きました。
行動分析では、行動を、A(先行条件)、B(行動)、C(結果)の3つに分けます。

そして、このC(結果)が、行動を起こすかどうかに影響をすると考えました。
例えば、A.自販機が目の前にある → B.自販機のボタンを押す → C.ジュースが買えて嬉しい
という風になります。
自販機のボタンを押すのは、ジュースを買うとよいメリットが存在するためです。
逆に、自販機のボタンを押してもジュースが買えなくなると、このメリットは消失します。
そうすると、自販機のボタンは押さなくなりますね。

さて、このような関係性には色々なパターンがあります。
上記の例は、「正の強化」と呼ばれる関係性です。
他にも、正の弱化、負の強化、負の弱化と呼ばれる関係があります。
ちょっと話が難しいですが、まずは例を紹介しましょう。

正の強化:おじいちゃんにあって、「お小遣いちょうだい」と言うと、お小遣いがもらえた。そのご、「お小遣いちょうだい」と言うことが増える。
負の強化:プールに入りたくないときに、「今日はお腹が痛い」と言うと、プールに入るのが免除される。その後、「今日はお腹が痛い」と言うことが増える。
正の弱化:廊下をはしっていると、先生からめちゃくちゃに怒られて、廊下を走らなくなった。
負の弱化:スピードを飛ばしたくなる道で、警官から違反切符を来られた、その後、その道では、スピードを出すことはなくなった。

これを整理すると、下のようになります。

その行動をとる可能性が上がる場合、その関係を強化と呼びます。
その行動をとる可能性が下がる場合、その関係を弱化と呼びます。

何かが出現することで、この関係が成り立つ場合、正の◯◯と呼びます。
何かが消失することで、この関係が成り立つ場合、負の◯◯と呼びます。

この2×2で4つの関係が成立しますね。

もう一度、上の例を整理してみましょう。

正の強化: おじいちゃんと会う → 「お小遣いちょうだい」と言う(行動) → お小遣いを貰える ⇒ 行動をとる可能性が上がる・お小遣いが出現している
負の強化: 入りたくないプールがある → 「お腹が痛い」と言う(行動) → 嫌いなプールがなくなる ⇒ 行動をとる可能性が上がる ・ プールが消失している
正の弱化: 学校の廊下にいる → 走る(行動) → 怒られる ⇒ 行動をとる可能性が下がる・先生の怒りが出現している
負の弱化:スピードを出したくなる道 → スピードを出す(行動) → 罰金を取られる ⇒ 行動をとる可能性が下がる・お金が消失している

となります。
少し難しくなりますが、出現したり消失したりするものには、良いもの(お小遣い等)と悪いもの(怒られる)があります。良いものを好子、悪いものを嫌子と呼びます。

正の強化:好子出現により、行動をとる可能性が上がる
負の強化:嫌子消失により、行動をとる可能性が上がる
正の弱化:嫌子出現により、行動をとる可能性が下がる
負の弱化:好子消失により、行動をとる可能性が下がる

と整理できますね。

応用行動分析学では、このうち、正の強化と負の弱化のみを使います。
上手な人は、正の強化だけで治療をします。

応用行動分析学は、自閉症児の療育に最も成果をあげた治療法です。
最近では、家族対応の際に使われることが多いです。

 

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カテゴリー: 認知行動療法

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