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最近、よく「エビデンスがあります」「科学的に証明されています」という文言をよくみる。

一般的な精神医療のユーザーからみれば、自分が良くなるための方法ならば、なんでもしたいと思うだろう。実際に、自分だったらそうすると思う。

認知行動療法、EMDRはエビデンスに基づいた治療法であると言われる。
そういう意味では、SSRI等の薬物療法もエビデンスに基づく治療法であろう。

エビデンスに基づく治療だと言われるためには、まずはランダム化比較試験(RCT)が必須である。
RCTは、簡単に言えば、実薬と偽薬を患者に飲ませ、その効果の違いを比較する試験だ。
RCTの要件は様々あるが、その特徴の一つに二重盲検というものがある。
二重盲検とは、患者も治療者も、それが実薬なのか、偽薬なのかを知らないということだ。
こうすることで、確実にプラセボ効果の影響を減らせるようにしている。

さて、認知行動療法、EMDRだと、偽薬の代わりに、カウンセリング(話をきくだけ)というのがよく行われる。TAU(通常治療群)と言われるものがよく使われる。
通常治療群には自律訓練法やリラクセーションもよく使われる。
※自律訓練法やリラクセーションが、治療に全く役に立たないかどうかは、実は問えない。

さて、この時、この治療法に効果があると言えるようにするためにする工夫は何であろうか?
言い方を悪いようにすれば、結果を出すためにはどんな細工をすればいいだろうか?

一つの答えは、対象者を均一にすることである。
例えば、治験には組み入れ基準がある。
例えば、強迫性障害に対する認知行動療法の治験を行う場合、
うつ病がある人、発達障害がある人は除外します等の条件が課される。
なぜかというと、併存疾患がある場合、治療効果が下がるからである。
これは、薬物療法の治験でも同じである。

日本では、心理療法の治験はかなり数が少ない。
理由は、製薬会社がもうからないから出資しないためだ。
製薬会社は、自社の薬を売り出すために、治験に出資する。
精神療法の治験には、製薬会社は出資しない。

さて、日本の心理療法のRCTがどれだけ行われているかは、
UMIN-CTRで調べることができる。
このデータベースには、基本的には臨床試験を行う前に登録することが義務付けられる。
なぜならば、効果が出なかった研究を隠蔽し、効果がある研究のみを公表する出版社バイアスを避けるためである。
試しに、認知行動療法で検索をすると61件のRCTがヒットする。(2015年4月現在)

このようなRCTを組み、いくつかのRCTで効果が確認された結果、
科学的に根拠がある治療法として認められる。
このようなRCTをまとめて、治療法に効果があると認定する方法を
Systematic review and Meta analysisと言う。

さて、このようにエビデンスがあると認められた治療方法だが、
ここでの落とし穴は、どんな対象に対して効果があったか?という点である。

例えば、認知行動療法はうつ病に効果があると言われているが、
老年期の人にはどうなのか? 産後うつ病にはどうなのか? 双極性障害のうつ病にはどうなのか?という疑問が出てくる。

実際、このあたりの細かい話になると私自身も全ては把握できていないので、
その都度、調べることになる。

一般の精神科ユーザーからすれば、じゃあどれを読めばいいのか?
と思うだろう。そういうときは、ガイドラインだ。

精神疾患に対するガイドラインで、かつ日本語で読めるものは数が少ない。

例えば、
「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.大うつ病性障害」
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/130924.pdf

「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅰ.双極性障害」
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/120331.pdf

パニック障害の治療ガイドライン
http://hikumano.umin.ac.jp/PD_guideline.pdf
→書籍になっている

摂食障害治療ガイドライン
→これも書籍になっている

強迫性障害はガイドラインが公には出されていないが、
http://iocdf.org/wp-content/uploads/2014/10/Japanese-Translation-What-You-Need-To-Know-About-OCD.pdf
http://harai.main.jp/kyouhaku/kyouhaku1.html

あたりが詳しいと思う。

まずは、自分の治療がガイドラインに沿ったものかどうかを確認してみるといいと思われる。
中には、ガイドラインの治療の流れから大きく外れている人もいるかもしれない。
そういう場合は、もしかしたらそれなりの理由があるかもしれない。

本当は、何らかの形で、どんな治療をしていくかの話し合いが最初に持たれるはずである。
もっとも治療の方針は途中で変わることもあるだろう。
きっと、その方針の変更理由も説明してくれると思われる。

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カテゴリー: ガイドライン