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女性の強迫症は、20代に発病することが多いと言われています。そのため、女性の強迫症の方にとっては、妊娠・出産・育児(授乳)と気になることが多いと思います。

また、産褥期(産後約6~8週間)に強迫症を発症する方や、悪化する傾向にある方も多いと言われています。

私のところでも、産褥期に悪化した方のご相談を頂くことが多いです。内訳としては、洗浄強迫の方が最も多いです。

今回の記事は、強迫症に最も使われるSSRIに関してまとめたいと思います。

 

妊娠前とSSRI使用

強迫症は、SSRIで治療した場合、SSRIを中止すると再発、悪化が生じることが多いと言われています。もし、SSRIの中止を考えるのであれば、これらのリスクを考えた上で選択を行う必要があります。

 

妊娠中のSSRI使用

妊娠に関して最も気になるのは、いわゆる「催奇形性」だと思います。いわゆる、赤ちゃんが先天異常(奇形)を持っているかどうかです。

まず、催奇形性に関して大事な情報は、薬剤に暴露されなくとも、流産は15%、先天異常は2-3%の胎児に発生するということです。

皆さんが聞いたことがあるサリドマイドは、催奇形性は25%以上と言われており、精神科でよく用いられる、抗てんかん薬、炭酸リチウムは10%以下と言われています。

また、これらは、飲んでいた/飲んでいないという影響に留まらずにどの時期に飲んでいたか?という情報が重要になってきます。

また、倫理的な問題があるために、実験によって確かめることができず。実際にSSRIを飲んでいた人を調べるという方法でしか研究を行うことができません。そのため、資料が限られてくるという問題もあります。これらの資料をもとに考えると、SSRI(パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン、フルボキサミン)は重大な催奇形性を持っていないと言われています。しかし、パロキセチンに関しては、心奇形発生のリスクが増大する可能性があります。

 

授乳とSSRI

産褥期にご相談がある場合、妊娠前に計画的に服薬を中止していらっしゃる方が多いかと思います。そのため、医療機関にかかっておらずに、どうしようか迷っていらっしゃると思います。

SSRIが乳汁に移行する量は少ないく、母乳栄養の乳児に特に何らかの問題は生じないだろうと言われています。

 

出産後の生活

最近は、ワンオペ育児などの問題も言われており、育児に親族が関わることが難しいこともあります。そのため、昼間に育児をして、夜に強迫行為をためてやってしまう方も多いです。

強迫症のお母さんにとって問題なのは、ウェットティッシュ・アルコール除菌の問題でしょう。特に赤ちゃんのおしりふきのために、ウェットティッシュを使用する方が多く、道具としては強迫症の症状を悪化させることが多いです。

また、赤ちゃんの健康のことを考え、どうしても除菌などに気を使ってしまうという心理も働いているように思います。

さらに、赤ちゃんが清潔を保ちたいものになっている方も多くいます。そのため、はいはいを始める、歩き回る場合にとても気になってしまうことが多くなることが多いです。

赤ちゃんの排泄物に関しては、大丈夫なお母さんが多いです。

 

強迫症の子供への影響

強迫症に関する遺伝的な要素は確かにあります。しかし、遺伝よりも大事なのは子供への衛生に関する教育です。

強迫症の親を持つ強迫症の方を見ていると、ご両親の衛生に関するものの捉え方がかなり子供へ影響を及ぼしていると感じます。

強迫症の治療抵抗性の要因として、自我違和感(洞察)と言われる要因があります。これは、自分の症状に対して、どれくらい変だと思うか?という要因です。

親が強迫症の場合、親が「これは汚いものだ」「これは危険なものだ」と教えることで、子供は、それが正しいことだと学んでしまいます。そのため、後に強迫症を発症したとしても、この考えを色濃く受け継いでしまいます。

たとえ、子供が強迫症を発症しなくても、強迫症の親と同等の衛生に関する価値観に従い強迫症様の行動をとる例は非常に多いです。

 

 

お母さんに対する強迫症の付き合い方

どうしても、ママ友同士に話では衛生・栄養に関する話題が多くなりがちです。そうなると、安全性を確かめたくなってしまうでしょう。

強迫症の考え方の癖として、「不確定なものに耐えられない」というものがあります。そのため、安全なのかどうかが確かめられないと不安になると思います。

しかし、『リスク<利便性(メリット・コスト)』と考えられるものはやっていくことが大切です。例えば、赤ちゃんがはいはいを初めて色々と口にするものがあるかもしれません。確かにこれらはリスクは0ではありません。床から食べると危険だと思われるものを除去することは大事なことです。一方で、24時間いつでも監視をして、何を食べたのかを把握しようとするととても疲れてしまいます。この場合、監視するという行動はリスクに比べてコストが非常に大きい行動になります。

 

 

参考

・向精神薬と妊娠・授乳

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カテゴリー: 強迫症(強迫性障害)