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洗浄強迫は、さまざまある強迫症の中でも特に多く見られる強迫のタイプです。

この洗浄強迫の人のもつ思考は、人が感じる嫌悪感情と関連があるとされ研究が進められています。今回は、嫌悪に関する心理的研究から分かってきたことをまとめて紹介します。

 

共感呪術的思考

共感呪術とは、文化人類学者のジェームズ・フレイザーが定義した呪術の理論です。合理的に考えると誤っていることがわかるのですが、強迫症の傾向を持つ人は、ある考え・ある行動と出来事との間に因果関係があると考えてしまう、呪術を行なうときとよく似た思考の癖を持っていることが分かってきました。

 

・類似の法則

形の似ている物同士は、その見た目が似ていることから本質的な性質も似ていると考える法則です。この法則のように、本来は害の無いものであることが分かっていても、不潔なものと形状が似ているなら同じく不潔であると考えてしまいます。

例えば、ゴキブリを不潔だと感じてしまう人にとっては、そのゴキブリは滅菌処理されていて清潔だと伝えたとしても、その見た目がゴキブリである限りは不潔であると感じて嫌悪してしまいます。

 

・接触の法則/感染の法則

「一度汚れたものと接触したものは、その汚れを取り除いたとしても汚れ続けている」と感じる思考です。

例えば、動物の糞が不潔であると感じる人にとっては、動物の糞を靴底で踏んづけて接触してしまうと、その靴底の汚れを拭き取ったり洗ったりしても、「動物の糞に触れた靴」として汚れ続けていると感じて嫌だなと思ってしまいます。

 

ルーミング脆弱性

これは、体験したことのない人が聞いていると、とても奇妙で不思議な感覚だと思われるかもしれません。強迫症の傾向を持つ人は、このルーミング脆弱性と呼ばれる認知特性を持っていることがあります。「汚い」と感じる汚染物質(菌なども)が空間に広がっていき、自分に接近してきたり、浮き上がって見えていたり、大きくなっているように感じる感覚です。

例えば、たくさんの洋服がハンガーにかけられているのを見ていても、そのうちの1つが何らかの原因で汚れていると感じてしまったら、その汚染を感じてからは、その服だけが気にかかり、どうしても浮かび上がるように見えて注意がそちらに向かい、避けようとしてしまいます。また、その洋服に触れた人を通して、その汚れが拡散していくイメージを浮かべてしまうのです。

 

精神性汚染

これは、実際に汚れたものと物理的な接触が無いにもかかわらず、その汚れていると感じたものを見たり、感じたり、考えたりしたことで、自分や周りが汚れてしまうと感じる感覚です。汚いと認識した人物がその室内に入ってきただけで、その空間が汚れていくと感じてしまったり、汚いものだと感じる声や音を聞いたことによって自分が汚されてしまったと感じる精神的な汚染の感覚です。

 

安全な場所(聖域)

洗浄強迫を持つ人は、その汚れが部屋中に広がっていく様子を頭の中で鮮明にイメージすることができます。汚れに触れた人を通して、その汚れに触れた人が移動して他のものにふれることで汚れが拡散され、その区域が汚れていく様子や、汚れたものがその場所にあると感じることで、その空間そのものが汚染されていくとハッキリと感じます。そのため、安全な場所(聖域)と呼ばれる区域を確保し、その場所にいれば汚れることがないと感じるといったことがよく見られます。そして、その場所が絶対に汚れないように守ろうとします。

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カテゴリー: 強迫症(強迫性障害)