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強迫症の中の治療は、ERPが基本だ。

ERPとは、端的に言えば、自分が嫌なことを進んでやって受け入れていく治療法になる。
そこで、困るのがERPをしたくないという場合だ。

家族だったら、ERPをしたらいいのにと思うけれど、本人は嫌がる。
本人だったら、ERPをした方がいいと思うけれど、やったらどうなるんだろうと思ってしまう。

だいたい出てくる疑問としては…

① やったら悪化しないの?
経験的には、悪化したと思ったことはないし、私の先生達にきいても悪化したことはないという。
ただし、途中で辞めたら、嫌な気分になるというのはある。
最初の5分、10分くらいは、嫌な感じがどんどんと強まっていく。
強まっていくというのは、とてもいい線をいっていると思っていい。もし、嫌な感じが強まらないときは、あまりいいERPではないと思う。
この嫌な感じが高まるときにERPを辞めてしまうと、悪化するのかもしれない。かもしれないというのは、時間の都合で途中で辞めた場合も何度もあるけれど、悪化したと思ったことはないからだ。

ただし、これはOCDのエクスポージャーに限る。PTSD等のトラウマ体験が明確にある場合は、エクスポージャーが不向きな場合がある。それは、解離性障害と過換気発作がある場合だ。解離性障害が合併しているとエクスポージャーの治療原理が上手く働かない場合がある。また、過換気発作は、先に過換気の心理教育と呼吸法をしないと、ただパニックになるだけで終わってしまう可能性がある。

②ERPをしたけれど、よくなった感じはない
これには、色々な可能性がある。一番多いのは刺激の設定方法を間違っている場合。
言い方を変えれば、どこかで本当に嫌な感じが起きないように手加減をしてしまっていたり、本当に避けているものを上手く掴めていない場合に起こりやすい。

また、ボディイメージの歪み(ボディ・チェック)、対称性・正確性の強迫、抜毛等のいくつかの強迫症状に対してはERPがあまり効かないことが分かっている。ただし、臨床的にはERPで改善が見られている場合があるので、やってみる価値はある。
これらの症状にERPをしても、上手く良くなった感じがしないときは、マインドフルネスを併用するか、ハビットリバーサル法を行う。

また、1回だけのERPでは、改善は見られない。欲を言えば、1日に1回はやってほしい。これは、野球の素振りのようなもので、頭で考える様なものではない、体で覚えていくような種類のものなのだ。

③ERPをする勇気がない
当事者がやっている様子をみたり聞いたり、一緒にやってもらう人を探すと良い。治療の場面ならば、セラピストが一緒に行う。ただし、大丈夫、綺麗とは一言も言ってはならない。
これを治療者が言ってしまったために、本質的には治っていない症例が時々みられる。

 

 

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カテゴリー: 強迫症(強迫性障害)