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皮膚むしり症, 抜毛症は、身体集中反復行動症 (Body-Focused Repetitive Behavior Disorder;BFRBD)と呼ばれる、身体に焦点化した反復行動の障害です。これらは、強迫症(OCD)との関連が指摘されています。

今回は、皮膚むしり症、抜毛症の治療について TLC Foundation for BFRBs のリーフレットから少し抜粋して紹介します。

 

原文:https://www.bfrb.org/storage/documents/Expert_Consensus_Treatment_Guidelines_2016w.pdf

 

いつ、身体集中反復行動症は始まるのか?

抜毛症は、11~12歳、皮膚むしり症は14~15歳に発症することが多い。しかし、どの年齢においても発症する可能性はある。思春期発症の抜毛症は女性に多い。

身体集中反復行動症の原因は?

まだ原因は、よく分かっていないが、家族研究や双生児の研究で遺伝的素因が関係あることが分かっている。しかし、遺伝的な要素が分かったとしても環境的な要因があることにも注意する必要がある。

身体集中反復行動症に対する誤解

・身体集中反復行動症は強迫症関連疾患だが、強迫症ではない。

・身体集中反復行動症は、未解決の心理的問題の結果生じるわけではない。

・身体集中反復行動症は、自傷行為ではない。自傷行為は、自分が持つ感情に耐えられない結果、生じることが多いが、身体集中反復行動症は、これらの自傷行為とは関係がない。

 

推奨される治療

心理療法としては、認知行動療法が推奨される。認知行動療法の様々なパッケージの中でよく研究されているものは、Habit reversal training (HRT:ハビット・リバーサル・トレーニング)、Comprehensive behavioral treatment(ComB:包括的行動療法)になる。

 

Habit reversal training

1970年代にNathan Azrin と Gregory Nunnによって始められた。今日、HRTは最もよく研究されている方法である。この治療法は3つの要素からなる。

・Awareness training (気づきの練習)

抜毛、皮膚むしりが起こるであろう状況に気付けるようにする。これを通して、抜毛・皮膚むしりをしようとした時に気づけるようになれば、抜毛・皮膚むしりを止めるためのテクニックを使う機会が増える

・Competing response training(拮抗反応の練習)

抜毛・皮膚むしりに変わる行動を教える。この行動は抜毛・皮膚むしりと同時にできないものにする。例えば、抜毛したいという衝動に駆られたとき、手を組み、腕を伸ばして両腕を固定する。そうすると、その瞬間は抜毛できなくなる。この行動は、抜毛したい衝動に駆られたときや、衝動にかられそうな場面で繰り返し行う。

・Social support (社会的なサポート)

通常は、恋人、家族なども治療に参加してもらい、本人が拮抗反応を行った時に褒めてもらうように指導する。そして、拮抗反応をするように合図をする、勇気づける、衝動にかられそうな状況で思い出すように関わってもらう。

研究としては、短期間の改善にはHRTを用いることは推奨される。しかし、HRTのみでは、長期的な症状の改善は難しいことも分かっている。

 

続く

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