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※現在、抜毛症のLINEグループを作っております。

強迫症関連疾患として、皮膚むしり症、抜毛症などがあげられる。

これらは、◯◯せずにはいられないという種類の強迫で、対称性の強迫、正確性の強迫と近い関係にある。
これらの強迫の特徴は、強迫観念というよりは、感覚に近いもので、その行動を取らざるを得ない状態に陥るというものだ。

抜毛症は、髪の毛を抜いてしまう病気だ。髪の毛を沢山、一気に抜いてしまうというよりは、一本一本、抜いてしまう。一気に、沢山抜いてしまう場合は、違う病気を考えたほうがいいと思われる。

対象は、髪の毛とは限らず、体中のあらゆる毛が対象となる。髭やまつ毛などの場合もある。

一般に、手が届きやすい場所の毛を抜いてしまうために、手が届きにくい場所は、毛が生えている場合が多い。そのため、髪の毛ならば10円ハゲのようなものができる。これが、見かけ上異質であり、本人が気にしている場合も多い。

抜毛を主訴に病院に来る人は、よっぽどの人だと思われる。大抵の患者さんは、他の病気があり、精神科にかかっているついでに、抜毛が困ると訴えてくることが多い。
そのため、潜在的には、意外に多いんじゃないかと思う。

さて、抜毛症には、Habit Reversal Training(ハビット・リバーサル・トレーニング) というものが第一選択として用いられる。これは、習慣を逆転させましょうという治療法になる。

HRTは、チック関連疾患に使われることが多い。そのためチックにも使う。ただし、チックは完全に治そうとすると、本人も周りもきついので、ある程度のところまでという感じになる。

抜毛の人の話をきくと、「何気に触っていると、気になってきて、気がついたら抜いている」という訴えをされる方が多い。

HRTにも色々なやり方があるが、ネットでぱっとひっかかった Charles S先生のプロトコルを紹介する。
◯段階1:アセスメントと機能分析

・治療の対象となる抜毛と心理教育
抜毛症は、習慣の病気であることを理解する。
・機能の特定
これは、行動分析の用語で、行動の機能に注目して、抜毛という行動にどんな機能があるかを特定する。抜きたいという衝動が引き金になるときもあれば、それとは関係のない刺激が抜きたいとおもうこともある。場所、その時の感情の状態、視覚的・触覚的感覚、「髪が左右揃っていない」などの認知などを記録する。内的な刺激なのか外的な刺激なのかもチェックする。

・セルフ-モニタリング
できるならば、時間、場所、何をしていたか、衝動の強さ、気がついたか、感情、考え、感覚、抜いた毛の場所、抵抗への努力の程度、抜いた数 を記録する。

※個人的には、本数でいいと思われる。まずは抜毛の知識と、セルフ・モニタリングを通して、毛を無意識に抜いてしまっていることを辞める。

◯段階2:モダリティ(感覚様式)の特定
治療対象となる感覚様式の特定:これは、セルフモニタリングに基いて決定する

段階3:対処行動の決定と実行
対象とした感覚様式において、どのような対処行動が使えるかを特定
患者に最も使いやすい対処行動を特定
少なくとも1週間は、患者が対処行動を行えるようにトレーニング

以下の感覚様式によって対処方法が違う(これらが引き金になるもの)
認知的:「髪の毛が変だから抜かないといけない」等が出てくる人には、認知再構成法をする
感情的:緊張・不安が出てくる場合は、リラクセーションを用いる必要ならば、暴露法を
運動的:これが典型的なパターンになる。この場合は、同時にできない行動を身につける。何かを握りしめる等。事前にバンドを手に貼るなどの反応妨害も有効。
感覚的:美容のマスク、お風呂、ブラシで髪をとくなどをしているときの感覚。こういうときは、マニュアル沿った方法を用いる。例えば、ブラシで髪をとくときも、手順通りにする。また、他の感覚様式を付け加えることも有効。手洗いの場合は、スポンジを使うなど

段階4:評価と修正
戦略の有効性を評価
治療の次の段階へと進める

という形になっている。

抜毛の場合は、長期的な介入が必要なので、周囲に対処行動をとっていることを褒めるように指導する。(contingency management:随伴性マネージメント)を追加することが多い。

感覚的には、無意識に抜いていることを、意識化させる。
抜きたくなったら、ベットの柵や、ペンを握ってやり過ごす。
頭皮を写真に取っておき、一日に抜いた数を数えておく。
治っていることを確認して、周囲にも自慢して褒めてもらう。

という感じでやることが多い。

 

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